2020年4月17日金曜日

今を生きる。

例えばヘルマンヘッセの「知と愛」ではペストで村一つが廃墟となるシーンがあったり、トーマスマンの「ベニスに死す」ではコレラ感染で20世紀初頭の当時のベニスがロックダウンし、一人また一人と亡くなり、やがて主人公もその病魔に飲み込まれてしまう。カミュの「ペスト」などでも主題となっている。 そんなストーリーを以前読んだ事があった。 しかしその何年か先、実際その様な事が世界を丸ごと飲み込むとは、夢にも思わなかった。 しかし去年までのほとんどの世界の人達はペスト やコレラに対し今ほどのリアリティは当然無かった、しかし今となっては自分を含む世界の誰しもがその真っ只中に存在してしまっている。 ウイルス感染は本当に恐ろしい。何より音も無くジワジワと迫ってくる。 しかし去年までの私達が感染に恐る事なく生活できたのは、以前のヨーロッパの人達が恐怖してきた ペストやコレラに対し、人類の知恵でもって打ち勝ってきた、と言う紛れも無い事実があるからで、そう考えると、今回のコロナウイルスに対しても世界の人々が共に強い気持ちで乗り越えて行くしかないのだ、と強く思う。 思えば1966年生まれの僕などは、戦争も知らず(大震災は経験したが)本当に幸せな時代に生きてきた。しかし今この大き過ぎる波に対し真正面から受け止め、そしてある種軟弱に生きてきた自分もこの時代をしっかりと生き抜いて行くしか無いのだ、と強く思う。 また、生きることが難しくなればなるほど、恐怖が増すほど、家族や友人、同僚、生徒に対し、愛おしさが増して行くものですね。